対談第4弾(映画「パーフェクトデイズ」)
コチラの記事です
ヴィム・ヴェンダースが監督?!
驚きですよね
こんな方です
ヴィム・ヴェンダース 1945年、ドイツ・デュッセルドルフ生まれ。現代映画界を代表する映画監督。「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」などの数々の名作で映画ファンを魅了。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」「Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち」などドキュメンタリーでも名高い。プロデューサー、写真家、作家としても活動。
一緒に観にいった家族が、ヴィム・ヴェンダースというタイプでもないので、
途中で寝てしまうかもwと思っていましたが、誰も寝ませんでしたw
訴えるものがあったのだろうなあ
ものの少ない生き方
ここに、見る人それぞれがザワザワするのだと思います
ヴェンダース 平山さんは、我々の多くがかなえられずにいる夢を思い出させる存在だと思います。彼は、多くを持っていなくても幸せです。余計なものを持たず、持っているもの、自分にとって本当に大切なものをきちんといつくしみながら生活している。
お金もない
名誉もない
ものも少ない
家族もない
友人関係も少ない
けれど、
毎日をとても大切に過ごしている
これを「自発的にしている」平山さんは、幸せそうに見えます
前の回の対談にあったように、
実際に今、平山さんのような生活を「強いられている」人たちの中には、
幸せだなんてとても思えないよという方も、もちろんいらっしゃるでしょう
ものがないから幸せなんではなくて、
幸せを感じるためには、ものなど必要ないというのが本当のところでしょうか
そこに自分が気づくか気づかないか
幸せの分かれ目って、そんなところにあるような気がします
人から見たら、もしかしたら惨めに見えるのかもしれないけれど、自分は十分に幸せだよ
という境地もあるし
人から見たら、羨まれるような境遇なのに、自分としては全く幸せではない
というひとも少なくはないですよね
幸せって、
本当にとても個人的で主観的な感情です
他人には窺いしれない個人的な内面の問題ですよね
自分だけが知っているのが、
「幸せだなあ」という気持ちです
ものを持ちすぎることの恥ずかしさ
というタイトルの項がありました
これはまさに、自分の問題でした
ヴェンダース 私たちは、常に必要よりも多くのものを買ってしまいがちです。本屋さんに入っても、つい2、3冊、買ってしまいませんか。(映画の中の平山のように)1冊だけ、自分が本当に読むために買って、終わってからもう1冊買いに行くというのは革命的なことだと思うんです。真に革新的だと思うんです。必要なものだけを買う。
亡くなった母の遺品の始末に実家に行った時、
膨大な量の「もの」に驚きました
母は見せびらかしの文化とは無縁の、実に自分を生きている人でしたけれど、
ものは溢れていました
棚のあちこちにトイレットペーパー
家中のあちこちに無料で配られていたティッシュの袋
使いきれなかった頂き物のタオル
食べきれなかった賞味期限切れの食料品のストック
何十年分のスカーフと小袋の類
本当に驚きました
みんな新品だけれど、もう古いものなんです
そして、気がつきました
私も同じだと
母は長いこと認知症でしたから、ものの管理が出来なくなっていた部分もあるはずです
私は現時点ですでに、その母と同じ、使いきれない量のものに埋もれた「恥ずかしい生活」をしています
対談で語られるヴィム・ヴェンダース監督ご夫妻と同様に、
我が家は今、自分たちにとって本当に必要なものは何なのか、
それぞれが選び出す作業をしているところです
ものがたくさんあることが「豊か」なのではなくて、
必要ではない、好きでもないたくさんのものに惑わされていることは「恥ずかしいこと」なのだと
気がつけてよかったです
ダンサーの田中泯さん
この映画の中の俳優さんたちは、それぞれに個性的で魅力的ですが、
ダンサーの田中泯さんはことに印象的です
登場するだけで、見透かされている感じがします
柳井 作品に出ていただいたのをきっかけに、僕も、田中泯さんのご自宅にお邪魔してお話をしたりするようになったのですが、泯さんご自身、平山さんにある種似ていて、あまり物を持たない。ご自分の踊りを記録したり、何か作品にとどめるということにもあまり執着がなくて、その場で起こることが全て、という考え方でいらっしゃる。でも、だからこそ、監督や僕らもそうですけれども、あの踊りに魅力を感じて残したくなる。残せないと言われると残したくなる感じもあるというか……。
今、この一瞬を生きる
ということなのかなあと考えています
見透かされる、見透かしてくれる存在って、ありがたいことですよね
映画の炎を、役者や製作陣、観客へ渡す
という項で、ヴィム・ヴェンダース監督が語っています
僕自身も映画を見た後、自分の中でこの映画は生き続けるんだと思えるような映画が大好きだし、世界の見方が変わったなと思わせてくれる体験が大好きです。そんなにたくさんは起きないけれども、間違いなくそういうことが映画を見て起きるし、それが映画の力だと思います。
私も数は多くはないけれど、そういう映画に出会ってきました
イタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」
戦禍での話です
究極の、
ものもなく、家族もバラバラで、生きる希望もない状況が舞台です
でも、
そこには「幸せな気持ち」があります
ひとは、誰かのためにこんなこともできるのだという奇跡があります
「お話だよ」と片付けてしまいたくはないです
1人の人が、戦争をやめさせるチカラなど、もてはしないけれど、
1人の人が、自分と周りの誰かを「幸せな気持ち」に変えるチカラは、それぞれが確実にもっている
ひとを変えることはできなくても、
自分の考え方、行動を変えることはできる
沢山のことを学びました
誰にとっても、
人生は、生きていること自体が、美しいこと
ライフ・イズ・ビューティフル
なのだと思います
ありがとうございます
前の回の対談での役所広司さんの言葉です
役所 (北米の配給を担う)NEONの社長が、ニューヨークみたいな大都会の人間に見せたい映画だって言ったのは、よく分かりますね。日の出とともに目を覚まして、夜になったら眠って、という平山の生活は、自然のすぐそばでわずかなもので満足する生活をしている人たちから見れば、そんなに変わった人物だと思わないのかもしれないんですけど、僕たち都会で生きている人間にとっては、監督も言っていましたけれど「平山がうらやましい」っていう瞬間があるのかもしれません。大都会の中にあっても、大自然の中で生きているような優雅さをもって、時間に追われず生活している……。
問いかけの沢山ある映画ですよね
ザワザワは続いています
そして、自分の日々の生活が変わってきています
必要なものを必要な数だけ大切にして暮らす
みなさまは、どんな暮らしが「豊か」だと思われますか?
今日もいい一日をお過ごしくださいね